カンボジアスタディツアー(前半)

今回は私たちPoverty Solution Programメンバーのカンボジアでのスタディツアー(前半)について報告します。
カンボジアには直通便が飛んでいないので、まず私たちは関西国際空港からベトナムホーチミンに飛びそこからカンボジアの首都プノンペンに乗り込みました。
9月のカンボジアは雨季の真っ只中、天候が心配されました。
プノンペン空港に着くと、外は小雨。
しかも道は、昼間に結構雨が降ったのか、ところどころに冠水していました…
日本のインフラ、排水設備のすごさを改めて実感しました。
さらに衝撃だったのはバイクの複数人乗り。
二人乗りは当たり前。三人乗りや中には四人乗りという強者が。日本では考えられませんね。
ホテルに着き、晩御飯を食べに行ったときのことでした。
夜にあまり外を出歩くのも良くないので、近場の屋台やレストランで済ませようと、店の人に何を売っているのかを聞こうとしました。
ところが、日本語はおろか、英語ですら通じません。それもそのはず。
ホテル付近の屋台やレストランは観光客向けではなく現地人向けだったのです。
言葉もわからないまま、皆お腹がペコペコだったので勢いでレストランに。
読めないメニュー
通じないオーダー
次々運ばれてくる得体の知らない野菜(見た目は草)
とりあえず食べてみるメンバー
「これ何!?」
「パクってるぞ!(訳:パクチーが入っていてとても私には食べられません。)」
「あ、これ食べられる。」
手探り、舌探りの状態でなんとか夕食を終えました。
カンボジアで約1週間過ごす期待2不安8といったカンボジア1日目でした。


2日目の朝はホテルでプノンペンの朝の風景を楽しみつつ朝食をとるところから始まりました。
ベランダで感じるカンボジアの風がさわやかでした。
朝食後私たちはカンボジアNGOスクールを訪問させていただきました。
カンボジアNGOカンボジア人の自主運営を目標に日本人とカンボジアの青少年が
共同運営している組織で、スクールは彼らの活動の一環として2000年に
プノンペンに建てられ、今年10年目を迎えています。
生徒でありかつ現地スタッフである大学生のヌッドさんが私たちを案内してくださいました。
ヌッドさんはとても流暢な日本語を話されていて、
日ごろの自分の語学に対する意識を見直すきっかけになりました。
スクールに通う生徒さんのほとんどが大学生で、
そのうちの数人が忙しい合間をぬって私たちと意見交換をしてくださいました。
私が話した3人の学生さんはみんな先生としてパートタイムで働きながら
大学に通っているそうで、「先生になりたい」「医者になりたい」と
目を輝かせながら教えてくれました。
先生や医者はカンボジアでも高収入を得られる仕事だそうで、
Poverty Solution Programメンバーの1人が「自分の夢は幸せな家庭を持つこと」と言うと、
「お金がないと幸せになれないでしょ?」と鋭い言葉が!!
日本では感じにくいお金の価値を改めて実感させられました。
また生徒さんの1人になぜこの学校に通おうと思ったのか尋ねると、
「人とコミュニケーションをとる場が欲しかったから。
 何をするのでも人とのかかわりがなきゃ始まらない。」という返事が返ってきました。
これはどの国にいるかに関わらず真理だと思うし、
自分の暮らす場所から遠く離れたところでそう思っている人がいると
知ってとてもあたたかい気持ちになりました。
その後話題はお勧めの食べ物、日本の文化、ドリアンにまで及び、
約1時間の対話はあっという間に終わってしまいました。
本の学校と比べると決して良いとは言えない校舎で
生き生きと語学やPCスキルを学ぶ生徒の方々の様子がとても印象に残りました。
市場での昼食をすませ、午後はグループ行動!!
3チームに分かれ、それぞれ王宮、セントラルマーケット、デパートなどに行きました。
特に思い出深いのはドリアンケーキの味とマーケットで学んだ値段交渉です・・・・。
現地の人とも触れ合い、カンボジアの空気や食事にも慣れ、
残りの4日間への期待も膨らむ1日となりました。


3日目はまずJHP(JAPAN TEAM OF YOUNG HUMAN POWER)・学校をつくる会を訪問しました。
プノンペン事務所にお勤めの深山さんと篠原さんにお話を伺いました。
JHPでは芸術・音楽授業を行っているほかのNGO団体からはなぜ、
理数科目ではなく芸術・音楽教育を行っているのかと問われるそうです。
JHPでは「できることからはじめよう」という理念のもとに、
自分たちでも教えることができる美術・音楽教育を始めることにしたそうです。
はじめは絵を模倣することしかできなかった子供たちが、
コンクールなどの取り組みの成果もあり、自由に創作できるようになったそうです。
しかし、今コンテストにむけて教育が行われつつあるのでそれは課題になっているとか。
 それからカンボジア内の経済格差についてもお話していただきました。
日本と変わらないような大型ショッピングセンターで遊び、
高い授業料を払いながら私立学校に通うような子供もいれば、
小屋のような家に住み、教育を受けられない人もいる。
国が発展する時に格差はつきものであるが、
このまま発展していけばますます格差は広まるばかりだとか。
国内格差は今まで私は、あまり気にしていなかった新しい問題だと意識しました。
 
事務所でお話を伺った後、JHPの支援しているプノンペン郊外にある学校を訪問しました。
校舎は思ったよりも広くしっかりしたつくりでした。
なんでも大使館建設のためにスラムを撤去した後に、
政府が援助してつくったというものだそうです。
ちなみに学校の中には政府の人のポケットマネーで建設されたものもあるそうです。
政府の人って一体いくらお給料をもらっているのでしょう・・・
夏休みということでしたが、子供たちが無料補習授業を受けにきていました。  

校長先生との交流の時間もありました。
地域住民の人が大いに協力してくださるそうです。
そんな話に感動しますが、学校支援金に対して
カンボジア富裕層からの寄付はないという話を聞いて少しがっかりしました。
同じ国の中の人間が苦労しているのに援助がないとはさみしいことですね。

そして最後に、現地スタッフの人と学校周辺を散策しました。
スラム街のようなところに行きました。家は本当に小屋のようです。
子供たちがちらほらいました。私たちが写真を撮っていると徐々に近寄ってきました。
デジタルカメラがとても珍しい様子で、撮った写真をみせると
とてもうれしそうにしていました。
そのうちすっかり仲好くなって30分くらい一緒に遊んでいました。
こどもはみんなやせ細っていて、年齢のわりに成長が遅れていました。
きっと食事は十分にとれていないのでしょう。
私たちにとってはただの日常道具でしかないカメラであんなに喜んでくれるなんて。
普段私たちはどんな贅沢をもとめているのでしょうか。
私たちのプログラムのテーマでもある貧困を
この目で見ることができた貴重な体験をすることができました。
たった40分くらいだったけれど、メンバー一人ひとりが何か考えることができたと思います。

そのあと虐殺博物館に行きました。
ポル・ポト政権については世界史の授業でならっていましたが、
まさかここまでひどい虐殺がおこなわれているとは想像していませんでした。
いつもは会話が絶えないメンバーですがこのときは、
何も口にすることができないほど衝撃的でした。
気絶をするまで引きずり、気絶したら意識を戻すために水をかける、
目の前で子供を殺すなど・・・民主的な考えはもちろんのこと、
その人の子供を身ごもっただけでも捕まった人もいたそうです。
人間というものは追いつめられると、どんなひどい行為も人間に対してできてしまうのですね。
アウシュビッツ収容所とかぶるところがありました。
同じことを二度と繰り返さないようにしなくてはいけないと感じました。
今日は本当にいろいろな場所を訪ねてたくさんのことを考えさせられました。

文責:アイセック京都大学委員会 送り出し事業部
   Poverty Solution Program 
   斎藤純輝、西岡沙季、林志保